桜が咲いて思うこと | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

桜が咲いて思うこと

$『Talking with Angels』西洋墓地の天使像 : 岩谷薫-10_4_4 桜を撮ってみました。
 昔、小笠原長生(おがさわらながなり)という海軍軍人さんがいて、

 『舎利子見よ 空即是色 花咲かり』

 という名句を残したそうですが、大好きな句です。
 この句は、全ては「空」であるという「般若心経」に則っており、
 舎利子は、お釈迦さんの弟子ですね。まぁ、我々ととらえても問題ないです。
 「色即是空」は虚しい事の代表のようによく言われますが、反対の「空即是色」ですね。 
 ちなみに「色」は現象界。つまり我々が暮らしている世界。「空」は、説明するのは難しいけれど、真実の世界、しょせん何も無いという世界ですね。例えば、「人生なんて泡沫(うたかた)さ」っていう世界。
 たとえ泡沫でありながらも、その色の中で「花咲かり」ってのが、いいじゃないですか。 死と隣合わせの軍人さんらしい歌でもあります。桜の中にある生の「狂」みたいなものもイイですね。 そうそう梶井基次郎さんは、桜の下には死体が埋まっているって言ってましたね。 天使もそうだね…。

 武者小路実篤さんは

『見るもよし 見ざるもよし されどわれは咲くなり』

 とこれはこれで絶対名句ですが、まだ気持ちが枯れ切っていない私は、やはり咲いている時は見てほしいよと思いますヨ!笑!